思い出

高総体から帰った、西日の入る自分の部屋で、
一人大きな声で、試合の一部始終思いだしながら泣いた。

お母さんは一階で何も言わずにいつもと同じ事をしてた。

夜になってもなきやめずに、ぐずぐず泣きつづけた。
目をさましたら、朝だった。
目は腫れて開かない。
家族は何とも言えない表情。心配してる。
学校に行った。

夜に夢を見る。試合の夢。
いつまでも、ひきずってたらいけない。
センター試験の勉強しなくちゃ。今日からはコートにも入れない。


今でもたまに、夢を見る。
授業中、練習メニューを考えてた。
強くなりたくて、本を読んだ。
家でも筋トレした。

弱いチームだった。
でも、大切な時間だった。
他には何もいらなかった。
大好きなハンドだった。





戻れないってこういうこと。
今日で終わりだと線をひく。

夢と混じって、今では記憶もぐちゃぐちゃになる。


終るって、
後悔を昇華できない。







立つ為には、自分の足が必要で、
本人にその気がないと、暗い地面につっぷしてるだけ。


お母さんは一階で、いつもと同じことをしていた。

きっと時間の猶予をくれたんだ。
急がなくてもいい。


自分の時間でいいよ。